ひとり暮らしに「ロフト」は天敵?
僕が一人暮らしをはじめたのは、
(おそらく多くの方々と同様)大学へ進学したことがきっかけだった。
最初に暮らしはじめたのは、六畳ほどのワンルーム(ロフト付き)。
「ロフト」というフレーズだけで憧れ、住み始めた部屋だ。
今になって振り返れば、考えなしもいいところだと一笑に付すだろうが、
当時の僕は、小さいながらも自分の城を持ったような気分になって、
これからの生活にたいそう夢を膨らませていたことを覚えている。
しかし、だ。
暮らしはじめて数日。そんな僕の城は早くもぼろぼろと崩れ落ちていく。
「理想と現実は別」とはよく言うが、もう少し夢を見させてくれてもよかったんじゃないかと、今でも思う。
問題となったのは、件のロフトだ。
僕は当初、ロフトに布団を敷き、寝床としていた。
ロフトは天井が低く、秘密基地のようなワクワク感がある。
屋根裏部屋や押し入れに隠れる体験、と言えばおわかりいただけるだろうか。
これから毎日、こんな素晴らしい心地で眠りにつくことができるのかと心浮き立ったものだ。
といっても、そんなワクワク感はほんの数日しか続かなかったのだが。
空気というのは、暖かければ上にいき、冷たければ下へいく。
だからこそ、冬にエアコンをかけていても、足元は底冷えし続ける。
エアーコンディショニングというのは、想像しているより簡単ではない。
要するに、
ロフトは、暑かった。
死ぬほど、熱かった。
ただでさえ天井が低く、熱が籠もりやすい構造。
狭いロフトの中は、まるでサウナのような亜熱帯空間と化していた。
寝苦しくて、夜中に何度も目が覚める。
一階の角部屋という(泥棒にも)好立地な物件であるため、
一晩中窓を開けているわけにもいかない。
仕方なく、電気代を我慢してエアコンのスイッチを入れるが、冷たい空気は、はるか下の床を撫でるだけ。
新生活をはじめて、早々の時期にこれだ。
数ヶ月もすれば、夏がやってきてしまう。
どう考えても、乗り切れる気がしない。
事情を聞きつけた先達(大学の先輩)に、アドバイスをいただいた。
「冬は暖かいので、夏場は床で寝ればいい」
なるほど、と思いしばらく実践していたが、
今度は、顔の真横にある冷蔵庫の音がうるさくて眠れない。
結局、夏を待たずして部屋を引っ越すことになった。
※このあたりの細かな話は、また別の機会にでも。
ロフトは通常、荷物置き場に使われることが多い。
ワンルームアパートは造り付け収納が少ない(もしくは一切ない)ため、大容量の収納スペースとして、ロフトの魅力は計り知れないものなのかもしれない。
しかし、だ。
ロフトに置いたモノは、一体いつ取り出すのだろう?
あの不安定なハシゴを、荷物を抱えて上り下りするのは、体験したことがある方ならおわかりであろう、危険極まりない。
一度放りこんでしまえば、二度と取り出さない。いや、取り出せないスペース。
つまり、収納としても機能不十分なのだ。
ロフト。
なんと甘美な響きだろうか。
しかし、その実は、一人暮らしに夢をみる前途ある若者の前に立ちはだかり、
時に厳しく、時にはもっと厳しく、
人生の厳しさをこれでもかと味わわせてくる、憎き存在なのである。
まあ、こうやってブログのネタになったりするのだから、
一回経験してみるのも悪くはないかもしれない。
つかの間のドラ○もん気分を、あなたも、ぜひ。